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Google Workspace for Nonprofits完全ガイド2026―― NPO・一般社団法人が無料でGmail・100TB・Geminiまで使える条件と申請手順をやさしく解説

公開日 / 読了時間 約20分 / 執筆 代表取締役 橋本 / カテゴリ 専門家解説
Google Workspace for Nonprofits完全ガイド2026年最新版。非営利団体が月額0円で使えるGmail・100TBストレージ・Geminiの利用範囲と申請手順をわかりやすく解説
※ 本記事のアイキャッチ:非営利団体だけが使える「月額0円のGoogle Workspace」を、範囲と条件から理解する
TL;DR / この記事の要点
  • Google Workspace for Nonprofitsは、参加資格を満たす非営利団体が月額0円で使えるエディション。独自ドメインのメール、Meet(150人)、100TBの共有ストレージ、最大2,000ユーザーまで利用できます。
  • 2026年はAIが無料枠に入ったことが最大の変化。GeminiアプリとGemini Notebook(旧NotebookLM)を、企業向けのデータ保護が効いた状態で使えます。
  • ただし無料版には境界があります。Gmailやドキュメント内のGemini、Meetの自動メモ、会議の録画は含まれません。ここが必要なら有料版へ。
  • 有料版も非営利価格。Business Standardが1ユーザー月額400円(年間プラン、標準料金の75%オフ)、Business Plusが700円です。
  • 日本ではNPO法人・公益社団/財団法人・社会福祉法人・一般社団法人が対象。政府機関・病院・学校は対象外です。
  • 申請は無料。さらにGoogleの担当者と1対1のオンボーディング(最大6回・日本語対応)まで無償で受けられます。

はじめに:知らないだけで損をしている「無料枠」

「AIを活用したいが、うちは非営利団体なので予算がない」。NPO法人や一般社団法人の方から、これに近い言葉を何度も聞いてきました。

ところが実際には、Google Workspace for Nonprofitsという制度を使えば、独自ドメインのメール、大容量のストレージ、オンライン会議、そして2026年からは生成AIまで、月額0円で使える可能性があります。予算がないのではなく、使える枠を知らないだけ――というケースが少なくありません。

この記事では、はじめてこの制度を知った方に向けて、「何が無料で使えるのか」「どこから有料なのか」「自分の団体は対象なのか」「どう申請するのか」を、順番に、前提知識を飛ばさずに解説します。ITの担当者がいない団体でも判断できるように、専門用語はその場で説明します。

※ 料金・機能・参加要件は2026年9月15日時点でGoogleが公開している情報に基づいています。制度は変更される場合があるため、申請前に必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。

現場から見た本音|無料枠の価値は「AIに手が届くこと」

非営利団体の現場で本当に足りていないのは、ツールの予算ではなく「限られた人数で回すための時間」です。無料枠の意味は、そこにAIが届くようになったことにあります。

企業向けの生成AI研修とAI顧問を通じて、これまで多くの組織の立ち上がりを見てきました。その立場から、この制度について強調しておきたいことが2つあります。

1つ目は、2026年のこの制度の主役はメールでもストレージでもなく、AIだということです。従来から無料枠はありましたが、そこにGeminiアプリとGemini Notebookが「追加費用なし」で含まれました。しかも個人向けの無料AIとは違い、入力した内容が人手でレビューされたりモデルの改善に使われたりしない、企業向けのデータ保護が適用されます。寄付者情報や相談記録を扱う団体にとって、この差は決定的です。

2つ目は、無料版の「境界」を先に知っておくべきだということです。後述しますが、無料エディションではGmailやGoogleドキュメントの中からGeminiを呼び出すことはできません。つまり「メールの下書きをAIに書かせる」という、多くの人が最初に期待する使い方は無料版の範囲外です。ここを知らずに導入すると「聞いていた話と違う」という失望から入ってしまいます。

無料版で正しく成果を出す前提は、「Geminiアプリという別の部屋にデータを持ち込んで使う」という発想に切り替えることです。この記事では、その使い方の具体例まで書きました。

結論:まず無料エディション、足りなければ月400円のBusiness Standard

最初に結論をまとめます。判断の順番はシンプルです。

1.まずは無料エディションで申請する

参加資格を満たす団体であれば、申請費用も月額費用もかかりません。独自ドメインのメール、Meet、100TBの共有ストレージ、Geminiアプリ、Gemini Notebookが使えます。小規模な団体の日常業務は、これで十分に回ります。

2.会議の記録が必要ならBusiness Standard(月400円)

Meetの録画・文字起こし、Meetの自動メモ作成(Take notes for me)、Gmailやドキュメント内のGemini、メールの一斉配信(差し込み印刷)が必要になった時点で、1ユーザー月額400円(年間プラン)のBusiness Standardが候補です。標準料金の75%オフです。

3.データの保持・監査が必要ならBusiness Plus(月700円)

行政や助成元への説明責任として、メールの保持・検索(Google Vault)や、参加者の出欠記録、高度な端末管理が求められる場合はBusiness Plusです。会議は500人まで参加できます。

4.職員が2,000人を超える/高度なセキュリティが必要ならEnterprise

ユーザー数の上限がなく、DLP(情報漏えい対策)やデータリージョンの指定などが使えます。標準料金の70%以上の割引が案内されています。

迷ったら「無料版で始めて、困ったら上げる」で構いません。非営利団体向けの割引は、あとからアップグレードしても適用されます。

Google Workspace for Nonprofitsとは?

Google Workspace for Nonprofitsとは、参加資格を満たす非営利団体が、Google Workspaceを無料で利用できる専用のエディション(プランの種類)です。

ここで、混同しやすい2つの名前を整理します。

名称何か関係
Google for Nonprofits非営利団体向けの支援プログラム全体の名前まずこれに申し込み、団体としての確認を受ける
Google Workspace for Nonprofitsプログラムで使えるWorkspaceの無料エディション確認が通ったあと、自分で有効化して使い始める

つまり流れは「①Google for Nonprofitsに申し込む → ②団体の確認を受ける → ③Google Workspace for Nonprofitsを有効化する」の3段階です。②と③は別の作業なので、「承認されたのに使えない」と感じたときは、③をまだやっていないことが多くあります。

そもそもGoogle Workspaceとは

Google Workspaceは、企業や団体向けのGoogleサービスのセットです。個人の無料Gmailと大きく違う点は3つあります。

  • 独自ドメインのメールアドレスが使える:info@自分の団体.or.jp のような、団体名の入ったアドレスになります(ドメインとは、インターネット上の住所のこと。catorce.jp のような文字列です)。
  • 管理者が全体を管理できる:職員の入退職に合わせてアカウントを作成・停止したり、2段階認証を必須にしたりできます。個人アカウントの集まりでは、退職者のメールを引き継げません。
  • 広告が表示されず、データの扱いが業務用の規約になる:相談者情報や寄付者情報を扱う団体では、ここが実務上の分かれ目になります。

生成AI自体をまだ触っていない方は、先に生成AIとは?仕組み・種類・できることを初心者向けにわかりやすく解説もあわせてご覧ください。

無料エディションで使えるもの一覧

月額0円のGoogle Workspace for Nonprofitsに含まれる主なものは、次のとおりです。

項目無料エディションでの内容
メール(Gmail)独自ドメインのアドレス。広告なし。迷惑メール・フィッシング対策つき
ビデオ会議(Meet)150人まで参加可能。最長24時間。挙手、ブレイクアウトセッション、アンケート、Q&Aに対応
ストレージ(ドライブ)100TBを団体全体で共有。共有ドライブ(チーム用の保管場所)も利用可
文書作成ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、Googleサイト、Keep
ユーザー数最大2,000人。ただし新規アカウントは当初300人まで(超える場合はサポートへ申請)
AIGeminiアプリ、Gemini Notebook(旧NotebookLM)。企業向けのデータ保護つき
アプリ開発AppSheet Core(コードを書かずに業務アプリを作れる機能)
Classroomクラスや課題の作成・管理(無料エディション特有の提供)
セキュリティ2段階認証プロセス、グループ単位のポリシー管理、基本的な端末管理
サポートスタンダードサポート
Google Workspace for Nonprofits無料エディションの主な機能。独自ドメインGmail、共有100TB、最大2,000ユーザー、Google Meet最大150人、GeminiとGemini Notebook、共有ドライブとAppSheet Core
図解月額0円の範囲を1枚に整理。新規アカウントは当初300ユーザーまでで、上限引き上げは管理コンソールから申請します。

注目してよいのは100TBという共有ストレージです。有料のBusiness Standardは1ユーザーあたり2TBなので、職員10名なら合計20TB。無料エディションのほうが総量では大きくなります。写真・動画・活動記録が溜まりやすい団体にとって、これは実務的なメリットです。

無料エディションに含まれないもの

一方で、次の機能は無料エディションの範囲外です。ここを最初に押さえておくと、判断が速くなります。

  • Meetの録画・文字起こし(ドライブへの保存もできません)
  • Meetの出欠記録、ノイズキャンセル、ライブストリーミング
  • Gmailの一斉配信(差し込み印刷):会員向けの一斉メールを送る用途で必要になりがちです
  • 電子署名(eSignature)、独自テンプレートのブランディング
  • Google Vault(メールや履歴の保持・検索。監査対応で求められることがあります)
  • Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet内のGemini機能(次章で詳しく説明します)

AIはどこまで無料?Geminiの範囲と上限

ここが本記事でもっともお伝えしたい部分です。「非営利団体は無料でGeminiが使える」という話は事実ですが、使えるのは"どのGemini"なのかで意味が大きく変わります。

無料エディションで使えるAI

  • Geminiアプリ:ブラウザやアプリで開く、チャット形式のAI。相談、要約、下書き、企画のたたき出しに使えます。
  • Gemini Notebook(旧NotebookLM):登録した資料だけを根拠に、出典つきで答えるAIノート。規程・議事録・助成金の募集要領などを読み解く用途に向きます。基本的な利用枠での提供です。
  • Googleドライブやドキュメントとの連携:Geminiアプリ側から自分のファイルを参照させる使い方には対応しています。
  • Google Vidsの生成AI機能:期間限定の扱いで、2026年5月31日までは全機能が利用可能と案内されていました。現在の提供状況は公式の最新情報をご確認ください。

無料エディションでは使えないAI

アプリの"中"にいるGeminiは、有料エディションの機能です。

機能無料(Nonprofits)Business Standard以上
Gmailの「Help me write」「サイドパネル」×○
ドキュメントの文章生成・要約・画像作成×○
スプレッドシートの拡張スマートフィル×○
スライドの画像生成・背景削除×○
Meetの自動メモ作成(Take notes for me)、翻訳字幕×○
Chatの会話要約・自動翻訳×○
ドライブのPDF分析×○
Workspace Studioでのエージェント作成×○

Geminiアプリ自体の上限も違う

同じ「Geminiアプリ」でも、無料エディションと有料エディションでは扱える量が変わります。2026年9月時点で公開されている目安は次のとおりです。

項目無料(Nonprofits)Business Standard以上
上位モデル(3 Pro/2.5 Pro)基本的なアクセス(利用枠は変動)4時間あたり25プロンプトまで
2.5 Flash一般提供一般提供
コンテキストの大きさ32,000トークン100万トークン
Deep research(詳細な調査レポート)月5件1日20件
画像生成・編集1日20枚1日100枚
音声概要(Audio Overviews)1日20件1日20件
定期実行(Scheduled actions)/動画生成×○
コンテキストが32,000トークンというのは、日本語でおよそ2万字前後が一度に扱える上限の目安です。長い報告書や規程を丸ごと貼り付ける用途には足りません。ここはGemini Notebookで分担させるのが現実的です。

それでも無料AIより価値がある理由

上限があるとはいえ、この無料枠には個人向け無料AIにはない特徴があります。入力したチャットやアップロードしたファイルが、人手でレビューされたり生成AIモデルの改善に使われたりしない、企業向けのデータ保護が組織単位で適用されるという点です。Googleは、SOCやISO 27001、ISO 42001、GDPRなどの認証群への適合、HIPAAへの対応も案内しています。

ただし、認証があることと「団体の機密情報を無条件に入れてよい」ことは別の話です。相談記録や寄付者名簿などをどこまで入力してよいかは、団体として決めておく必要があります。決め方は社内生成AIガイドラインの作り方|機密情報・禁止事項・プロンプトルールの雛形付きで具体的な雛形を示しています。

Gemini Notebookそのものの使い方はNotebookLMの使い方ガイド、Google WorkspaceとMicrosoft 365のどちらを軸にすべきかという比較はNotebookLMが「Gemini Notebook」に名称変更|Google WorkspaceとMicrosoft 365はどちらを選ぶべき?で扱っています。

有料エディションとの違いと料金

非営利団体向けの割引価格を含めた比較です。金額は1ユーザーあたりの月額です。

エディション料金(年間プラン)ストレージMeet特徴
Workspace for Nonprofits0円100TBを全員で共有150人Geminiアプリ/Gemini Notebook、Classroom、AppSheet Core
Business Standard400円(月払い475円)
標準料金の75%オフ
1人2TB150人+録画アプリ内Gemini、Meetの録画・自動メモ、差し込み印刷、電子署名
Business Plus700円(月払い840円)
標準料金の72%オフ
1人5TB500人+出欠記録Google Vault、高度な端末管理
Enterprise Standard/Plus標準料金の70%以上オフ拡張可能1,000人DLP、データリージョン、S/MIME、ユーザー数上限なし
非営利団体向け料金の比較。Nonprofitsは0ドル、Business Standardは月3.50ドル(75%以上オフ)、Business Plusは月6.16ドル(72%以上オフ)で、Enterpriseも70%以上オフ
図解無料版・Standard・Plusの選び分け。図の金額は米ドル・1ユーザーあたりの表示で、日本円では Standard 月400円/Plus 月700円(年間プラン)が案内されています。

ユーザー数の条件も押さえておきましょう。無料エディションと、割引が適用されたBusiness Standard/Business Plusは最大2,000ユーザーまでという制限があります。割引Enterpriseプランにはユーザー数の下限・上限がありません。

アップグレードの考え方

費用感を具体的にすると判断しやすくなります。職員10名の団体がBusiness Standardに上げた場合、年間プランで月4,000円、年間48,000円です。この金額で、会議の録画・自動メモとアプリ内Geminiが全員に付きます。「議事録づくりに毎月5時間かかっている」なら、迷わず上げてよい水準です。

逆に、会議が少なく、メールとファイル共有が中心の団体であれば、無料エディションのまま長く運用できます。全員を有料にする必要もありません。Google Workspaceは、必要なユーザーだけを上位エディションにする運用も可能です。

※ 表示は公式に掲載されている日本円価格です。端数処理により実際の1ユーザーあたり料金にわずかな差が生じる場合があるとGoogleは案内しています。最終金額は登録手続きの完了前に提示されます。

日本での参加資格と対象外になるケース

ここが最初の関門です。2026年9月時点で公開されている日本の参加要件では、次の法人格が挙げられています。

  • 公益社団法人
  • 公益認定を受けた公益財団法人
  • 特定非営利活動法人(NPO法人。市区町村または都道府県の認証を受けたもの)
  • 市区町村・都道府県・厚生労働省の認可を受けた社会福祉法人
  • 一般社団法人

一般社団法人が含まれている点は、意外に思われることが多いところです。「NPO法人でなければ使えない」と誤解して申請していない団体は少なくありません。

対象外になる組織

次に該当する場合は、参加資格がありません。

対象外補足
政府機関・自治体などの公的組織公的事業体は対象になりません
病院・医療関連組織ただし医療機関に関連する財団や慈善部門は対象になり得ます
学校・教育機関・大学教育機関にはGoogle for Educationという別プログラムがあります。教育法人の慈善部門は対象になり得ます
日本での対象条件。公益社団法人・公益財団法人・特定非営利活動法人・一般社団法人は対象、政府機関・病院や医療団体・学校や大学は原則対象外。共通条件としてGoodstackの認証が必要
図解対象となる法人格と、原則対象外の組織。関連する慈善部門や財団は対象になる場合があり、最終判断は申請時の審査によります。

加えて、共通の条件として「非営利のボランティア組織として良好な運営状態にあること」「Google for Nonprofitsの追加利用規約に同意すること」「Googleの確認パートナーであるGoodstackによる非営利団体としての確認を受けること」が求められます。

申請から利用開始までの手順

ここからは実際の作業手順です。ITに詳しい担当者がいない前提で、どこをクリックするかまで書きます。

申請から利用開始までの5ステップ。対象条件の確認、Google for Nonprofitsからの申請、Goodstackによる審査(通常2〜14営業日)、Workspaceの有効化、初期設定と移行
図解申請から利用開始までの全体像。申請の承認だけでは利用開始にならず、承認後に製品を有効化する工程が必要です。

ステップ0:先に「独自ドメイン」を用意する

Google Workspaceは、団体のドメイン(example.or.jp のような住所)を使って動きます。すでに団体のウェブサイトがあるなら、そのドメインをそのまま使えます。ウェブサイトのメールアドレスが @gmail.com や @yahoo.co.jp の場合は、ドメインを新しく取得する必要があります。

ドメインは「お名前.com」「さくらインターネット」「Google Domains の後継サービス(Squarespace Domains)」などの登録事業者で、年間1,000〜5,000円程度から取得できます。取得したあと、DNS設定(そのドメインをどのサーバーに向けるかの設定表)に、Googleから指示されるレコードを1〜2行追加する作業が発生します。ここが唯一、少し技術的な工程です。ウェブサイトの制作会社がいるなら、この作業だけ依頼するのが最短です。

ステップ1:参加資格を確認する

Google for Nonprofitsの「参加資格」ページ(google.com/intl/ja/nonprofits/eligibility/)で、自団体の法人格と、対象外条件に当てはまらないかを確認します。登記事項証明書(登記簿謄本)の法人格の表記と照らし合わせておくと確実です。

ステップ2:Google for Nonprofitsに申し込む

google.com/nonprofits を開き、「使ってみる」または「お申し込み」をクリックします。申請には、団体の正式名称、所在地、ウェブサイトURL、活動内容の説明、代表者または担当者の情報などを入力します。担当者のGoogleアカウント(個人の @gmail.com でも構いません)でログインして進めます。

ステップ3:Goodstackによる確認を待つ

入力後、Googleの確認パートナーであるGoodstackが団体の実在と非営利性を確認します。登記情報や公開情報との照合が行われ、追加資料の提出を求められることもあります。一般には数営業日から2週間程度を見込んでおくとよいでしょう。承認されるとGoogleからメールで通知が届きます。

ステップ4:Google Workspace for Nonprofitsを有効化する

承認後、Google for Nonprofitsにログインし、「プロダクト」タブから Google Workspace for Nonprofits を有効化します。ここで先ほどのドメインを登録し、ドメインの所有権確認(DNSに指定の文字列を追加する作業)と、メールを受け取るためのMXレコードの設定を行います。設定画面には手順が表示されるので、指示に沿って進めれば大丈夫です。

ステップ5:ユーザーを作成し、既存メールを移行する

管理コンソール(admin.google.com:団体のアカウントを管理する専用画面)から、職員一人ずつのアカウントを作成します。既存のメールやファイルは、Googleの移行ツールでまとめて取り込めます。並行して、2段階認証を必須にする設定も最初に済ませておくことを強くおすすめします。

重要な注意点:Google for NonprofitsのアカウントとGoogle Workspaceの管理者アカウントは別物です。Workspaceの管理者は独自ドメインのアドレス(例:admin@自分の団体.or.jp)になり、@gmail.comではログインできません。

無料で受けられる1対1の導入支援

あまり知られていませんが、Googleは「Workspace for Nonprofits AI and productivity programme」という無償の導入支援を提供しています。Googleのプロダクト担当者と1対1のビデオ相談を、2週間で最大6回まで、費用なしで受けられます。

扱ってもらえる内容は、たとえば次のようなものです。

  • アカウント設定、他サービスからのデータ移行、ユーザー作成、管理レポート
  • Gmail、ドライブ、Googleサイト、カレンダーの職員向けトレーニング
  • GeminiアプリとGemini Notebookの活用(無料枠のAIを使いこなすための支援)

利用手順は、Google for Nonprofitsにログインし、「プロダクト」タブで承認済みのWorkspace for Nonprofitsを見つけ、「プロダクトエキスパートとの1対1サポートをスケジュール」を選択します。事前アンケートに回答すると、Google側から案内メールが届きます。対応言語には日本語が含まれています。

「移行作業が不安でなかなか踏み出せない」という団体は、まずここを使うのが合理的です。なお6回・2週間を超える延長はできないため、あらかじめ「この期間に何を終わらせるか」を決めて臨むほうが成果が出ます。

Workspace以外の3つの特典

Google for Nonprofitsに参加すると、Workspace以外の支援も使えるようになります。

1.Google Ad Grants(検索広告の無償枠)

Google検索に表示されるテキスト広告を、毎月最大10,000米ドル分まで無償で出稿できるプログラムです。1日あたりの上限は約329米ドルで、使わなかった分は翌日に繰り越されません。現金の助成ではなく、あくまで広告枠の提供です。

金額のインパクトは大きいのですが、実務上は注意点があります。広告を出す先のウェブサイトが整っていなければ成果になりませんし、アカウントの維持には運用上の基準があります。「枠が無料でも、運用工数は無料ではない」という前提で考えてください。

2.YouTube非営利プログラム

団体のYouTubeチャンネルに、寄付を促す機能などを追加できるプログラムです。活動報告を動画で発信している団体には相性がよいでしょう。

3.Google EarthとGoogleマップ

地図や地理情報を使って活動地域や成果を可視化できます。環境・防災・地域福祉などの分野で、報告書や助成金申請の説得力を高める素材になります。

つまずきやすい6つのポイント

実際の導入では、同じ場所でつまずくことが多くあります。先に知っておくだけで回避できるものばかりです。

#つまずき対処
1ドメインを持っていないことに申請途中で気づく先にドメインを取得しておく。既存サイトがあればそのドメインを使う
2承認されたのに使い始められないプログラム参加の承認と、Workspaceの有効化は別作業。プロダクトタブから有効化する
3管理コンソールにログインできないWorkspace管理者は独自ドメインのアドレス。設定した人が誰かを組織内で確認する
4「無料でGeminiが全部使える」と誤解して導入するアプリ内Geminiは有料。無料枠はGeminiアプリとGemini Notebookが中心
5会議の録画ができず現場が混乱する録画・自動メモが必須ならBusiness Standard(月400円)へ。必要な人だけ上げてもよい
6職員・ボランティアがAIを使わないまま終わるツールの付与ではなく、業務ごとの使い方を決める。ここが最大の落とし穴

6番目が実務では一番深刻です。無料でAIが手に入っても、「誰が、どの業務で、どう使うか」を決めなければ、利用は数週間で止まります。これは企業でもまったく同じで、詳しくは「AIを使わなきゃ」と思った経営者へ|中小企業は何から始めればいいのかで書いています。

非営利団体でのAI活用アイデア

無料枠のGeminiアプリとGemini Notebookで、実際に効果が出やすい業務を挙げます。いずれも「AIに資料や条件を持ち込んで、たたき台を作らせる」という使い方です。

1.助成金・補助金の申請書づくり

募集要領のPDFをGemini Notebookに登録し、「応募要件」「評価項目」「提出書類」を出典つきで整理させます。そのうえでGeminiアプリに活動内容を伝え、評価項目に沿った文章のたたき台を作らせます。読み込みと構成という、最も時間のかかる2工程が短縮できます。

2.活動報告書・年次報告の作成

過去の報告書と今年の実績メモを渡し、構成をそろえた下書きを作らせます。文体の統一まで指示しておくと、複数人で書いた原稿のばらつきが減ります。

3.寄付者・会員向けのお知らせ文

同じ内容で、寄付者向け・ボランティア向け・行政向けと、宛先別に書き分けさせます。個人名や連絡先は入力せず、内容だけを扱うのが安全です。

4.規程・マニュアルの問い合わせ対応

就業規則やボランティア受け入れ規程をGemini Notebookに入れておけば、「交通費はどこまで出るのか」といった質問に、根拠つきで答えられる状態を作れます。特定の担当者だけが答えている状況を解消できます。

5.会議記録の整理

無料エディションではMeetの自動メモは使えませんが、手元のメモをGeminiアプリに渡し、「決まったこと」「未決事項」「担当者」「期限」に整理させる使い方は今日からできます。会議録そのものを自動化したい場合のツール選定はAI議事録ツール徹底比較にまとめています。

無料で使える生成AIをGoogle以外にも広げて検討したい場合は、無料で使える生成AI 10選が比較の出発点になります。

まとめ|制度は用意されている。あとは使うかどうか

Google Workspace for Nonprofitsは、非営利団体にとって数少ない「申請すれば確実に得られる」支援です。要点を整理します。

  • 月額0円で、独自ドメインのメール、Meet(150人)、100TBの共有ストレージ、最大2,000ユーザーが使える
  • GeminiアプリとGemini Notebookが無料枠に含まれ、企業向けのデータ保護が組織単位で適用される
  • アプリ内Gemini・Meetの録画・自動メモは有料。必要ならBusiness Standard(月400円)、監査対応が必要ならBusiness Plus(月700円)
  • 日本ではNPO法人・公益社団/財団法人・社会福祉法人・一般社団法人が対象。政府機関・病院・学校は対象外
  • 申請は無料。さらに日本語対応の1対1オンボーディング(最大6回)まで無償で受けられる
無料枠を手に入れることがゴールではありません。「どの業務を、誰が、どう変えるか」を決めたときに、はじめて時間が生まれます。

私たちがコンサルティングと研修の現場で見てきた限り、うまく立ち上がる組織とそうでない組織の差は、予算やツールではなく最初の1業務を決められるかどうかにあります。助成金申請、報告書、問い合わせ対応――どれか1つに絞って、2週間試してみてください。効果が体感できれば、有料へ上げるかどうかの判断も自然にできるようになります。

なお、職員・ボランティア向けの研修を外部に委託する場合、研修費用については厚生労働省の人材開発支援助成金など、公的な支援制度の対象になる可能性があります。制度には期限が設けられているものもあるため、検討している場合は早めに要件を確認することをおすすめします。

※ 本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく参考情報であり、正式な料金・仕様・参加要件ではありません。Google、Google Workspace、Gmail、Google Meet、Gemini、NotebookLM、Gemini Notebook、YouTube、Goodstackなどの名称は、それぞれの提供元の商標または登録商標です。料金・機能・参加資格は変更される可能性があり、米ドル建ての金額は為替により円換算額が変動します。申請・契約前に必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。

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FAQ / よくある質問

Google Workspace for Nonprofitsに関するよくある質問

Google Workspace for Nonprofitsは本当に無料ですか?
参加資格の確認が完了した団体は、月額0円で利用できます。独自ドメインのメール、共有カレンダー、Google Meet、ドキュメント、100TBの共有ストレージ、Geminiアプリなどが含まれ、最大2,000ユーザーまで追加できます(新規アカウントは当初300ユーザーまで)。ただし会議の録画や、Gmail・ドキュメント内でGeminiを使う機能は含まれません。必要な場合は非営利団体向けの割引価格で有料エディションへ切り替えます。
一般社団法人やNPO法人でも申請できますか?
2026年9月時点で公開されている日本の参加要件には、公益社団法人、公益財団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人、一般社団法人が挙げられています。一方で、政府機関・自治体、病院や医療関連組織、学校・教育機関は対象外です。学校については、Google for Educationが別のプログラムとして用意されています。
無料エディションでGeminiはどこまで使えますか?
Geminiアプリ本体と、Gemini Notebook(旧NotebookLM)を、企業向けのデータ保護が適用された状態で利用できます。ただし上限があり、コンテキストは32,000トークン、Deep Researchは月5件、画像生成は1日20枚が目安です。GmailやドキュメントのサイドパネルからGeminiを呼び出す機能、Meetの自動メモ作成は無料エディションには含まれません。
申請から使い始めるまでにどのくらいかかりますか?
団体の確認はGoogleの認証パートナーであるGoodstackが行います。登記情報や活動内容の確認が入るため、一般には数営業日から2週間程度を見込んでおくと安全です。独自ドメインを持っていない場合は、ドメインの取得とDNS設定にさらに時間がかかります。イベントや決算期の直前ではなく、余裕のある時期に着手することをおすすめします。
すでに有料のGoogle Workspaceを契約していても割引は受けられますか?
参加資格を満たしていれば、すでに有料のBusinessまたはEnterpriseエディションを使っている団体も、非営利団体向けの割引価格に切り替えられます。Business Standardは1ユーザー月額400円(年間プラン)で標準料金の75%オフ、Business Plusは月額700円で72%オフ、Enterpriseは70%以上の割引が案内されています。
SUPERVISOR / 監修者

この記事の監修者

K.H

橋本 健太郎

株式会社カトルセ 代表取締役

生成AI研修・AI開発・AI顧問・PM/PMO支援を提供。累計2,000名以上のAI研修を支援し、大手企業の生成AI活用、Dify/RAG/AIエージェント導入、業務改善プロジェクトに携わる。実務に直結する「使えるAI活用」を一貫して伝えている。

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カトルセは、Gemini・ChatGPT・Claudeの業務活用から、議事録AI・社内FAQ・申請書生成の開発、研修による定着まで、ワンストップで支援します。「無料でどこまでやれるか」からご相談いただけます。