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AI研修の助成金【2026年度末で終了】8月改正後の対象条件と自己負担の計算例

公開日 / 最終更新 / 読了時間 約18分 / 執筆 代表取締役 橋本 / カテゴリ 専門家解説
AI研修の助成金

※制度の内容は2026年10月時点の厚生労働省の公開情報にもとづきます。最新の要件は、必ず厚生労働省の支給要領と管轄の労働局でご確認ください。

社員にAI研修を受けさせたいとき、まず確認したいのが厚生労働省の人材開発支援助成金です。条件を満たせば、中小企業は研修費の75%と、研修中の賃金の一部が助成されます。

ただし、AI研修でよく使われる「事業展開等リスキリング支援コース」は2026年度末(2027年3月31日)までの期間限定です。さらに2026年8月3日の改正で、全社員向けのAIリテラシー研修や汎用的なプロンプト講座は助成の対象外になりました。以前の情報のまま計画すると、申請しても助成を受けられないおそれがあります。

この記事では、8月改正後も対象になるAI研修の条件、年度末から逆算したスケジュール、自己負担の計算例を、研修を提供する立場から解説します。

TL;DR / この記事の要点
  • AI研修に使える助成金の本命は、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コース。中小企業は経費の75%+賃金1時間1,000円が助成される
  • このコースは2026年度末で終了予定。年度内に研修を終えるなら、計画届は12月上旬までに出すのが現実的な目安
  • 2026年8月3日以降の計画届から、職務に直接つながらない汎用的なAI研修は対象外。eラーニングは1人1年度1回まで
  • 対象外と判断された時間は除かれる。除いた結果、10時間を下回ると研修全体が不支給になり得る
  • 中小企業が税込39.6万円・11時間の研修を1人受けると、助成は30.8万円。支払いの負担は8.8万円(消費税の控除を受けられる場合は実質5.2万円)

AI研修に使える助成金は「事業展開等リスキリング支援コース」が本命

人材開発支援助成金は、会社が社員に職業訓練を受けさせたときに、研修費と研修中の賃金の一部を国が助成する制度です。いくつかのコースがあり、AI研修でもっともよく使われるのが事業展開等リスキリング支援コースです。新しい事業を始める会社だけでなく、社内のDX化に取り組む会社の研修も対象になります。

助成額の目安

項目中小企業大企業
経費助成率75%60%
賃金助成(1人1時間あたり)1,000円500円
経費助成の上限(1人1訓練・10時間以上100時間未満)30万円20万円
同(100時間以上200時間未満)40万円25万円
同(200時間以上)50万円30万円
1事業所あたりの上限(1年度)1億円1億円

経費助成は「研修費(税込)×助成率」と「1人あたりの上限」のうち、小さいほうになります。賃金助成は、所定労働時間内に、講師とリアルタイムでやりとりする形式(対面・ライブ配信)で受けた時間が対象です。eラーニングには賃金助成がありません。

ほかの制度との違い

制度特徴向いているケース
事業展開等リスキリング支援コース経費75%(中小)。2026年度末まで職務に直結するAI研修を10時間以上行う
人材育成支援コース(人材育成訓練)経費45%(中小・要件により60%)。期限なし2027年度以降に研修を行う場合の候補
東京都の DXリスキリング助成金都内の中小企業向け。短い研修も対象10時間未満の入門研修
個人向けの制度(教育訓練給付など)個人が講座を受けるときの制度会社が費用を負担する研修には使えない

エンジニア向けの研修(AIを業務に組み込むFDE研修など)は、単元ごとに助成の対象かどうかの判断が分かれます。その判定と実質負担の計算は、FDE研修は助成金の対象?2026年8月改正後の要件と実質負担で詳しく解説しています。

2026年度末で終了予定:いつまでに何をすればよいか

事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度(2027年3月31日)までの期間限定の措置です。2027年4月以降に同じ条件で助成が続くかは、2026年10月時点で確定していません(後述)。

年度内に研修を終える場合、逆算すると次のようなスケジュールになります。

時期やること
2026年10月研修の目的、受講者、担当職務を決める。研修会社を比べる
2026年11月カリキュラムを確定して契約する
2026年12月上旬まで管轄の労働局に職業訓練実施計画届を出す(訓練開始日の6か月前から1か月前まで)
2027年1月中旬〜2月研修を実施する
2027年3月31日まで研修を終える。研修費を全額支払う
研修終了の翌日から2か月以内支給申請をする

計画届は、訓練開始日の1か月前を1日でも過ぎると、原則として対象外です。年末年始は労働局が閉まる(12月29日〜1月3日)ため、1月開始の研修は12月中旬までの提出では間に合わないことがあります。余裕を見て12月上旬までを目安にしてください。

なお、年度内に「計画届の提出」「研修の開始」「研修の終了」「支給申請」のどこまでを終えていればよいかは、2026年10月時点で明確な文言を確認できていません。年度末ぎりぎりの日程を組む場合は、事前に労働局に確認してください。

2026年8月の改正で何が変わったか

2026年は、このコースが4回改正されました(3月2日・4月8日・5月14日・8月3日)。AI研修にもっとも影響が大きいのが8月3日の改正です。

変更点内容AI研修への影響
汎用的な研修の対象外化職務に間接的にしか関わらない研修、職種を問わず誰にでも必要な研修は対象外全社員向けのAIリテラシー研修、汎用的なプロンプト講座は対象外
eラーニングの回数制限1人あたり1年度3回まで。そのうちeラーニングは1回まで動画教材中心の研修は助成を受けにくい。ライブ配信と組み合わせた研修もeラーニングとして数える
適用の基準原則として8月3日以降に提出した計画届から適用。8月2日までに教育訓練機関と契約・申込みをしていた場合などは経過措置あり以前は通った内容でも、これからの計画届では通らないことがある

厚生労働省が示した例

研修の内容判定
営業担当者が、生成AIで商品提案書の構成案の作成・文章生成・修正を学ぶ対象
生成AIを使うための、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ対象外
DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ対象外

ポイントは、研修の中身と、受講する人の担当職務が対応しているかです。同じ研修でも、その業務を担当していない人が受けると対象外になります。

ほかにも、2026年5月14日からは、支給申請のときに受講料の価格設定を説明する書類(様式第28号)の提出が求められるようになりました。研修会社が関わった不正受給が大きな問題になったことを受けて、審査は厳しくなっています。

改正後も助成の対象になるAI研修の条件

8月改正後に計画するAI研修は、次の5つを満たしているか確認してください。

確認すること対象になりやすい対象外になりやすい
研修の形式事業所の外での研修(OFF-JT)。対面かライブ配信動画を見るだけのeラーニング中心
研修時間対象外の部分を除いても10時間以上基礎の座学を除くと10時間を下回る
内容受講者の担当業務で使う成果物を作る演習AIの基本、汎用プロンプト、DXの概念、他社事例の紹介
受講者の選び方研修内容に関わる職務の担当者「全社員」「管理職全員」のように部署や役職で一律
手続き訓練開始の1か月前までに計画届を提出研修開始後や、1か月を切ってから提出

「10時間ちょうど」の研修が危ない理由

研修の一部に対象外の内容が含まれていると、その時間は助成の対象時間から除かれます。たとえば「AIの基礎2時間+実務演習8時間」の計10時間で申請すると、基礎の2時間が除かれた時点で8時間になり、10時間の要件を満たさず研修全体が不支給になり得ます。

カトルセの職種別AI研修は、各講座を11時間で組んでいます。8月改正後の審査で一部の時間が対象外と判断されても、10時間を下回らないように余裕を持たせるためです。

なお、10時間以上という要件そのものは改正で変わっていません。「改正で11時間以上が必要になった」わけではない点にご注意ください。

自己負担の計算例

計算のしかた

  • 経費助成=「研修費(税込)×助成率」と「1人あたりの上限」の小さいほう
  • 賃金助成=1時間あたりの単価×所定労働時間内に受けた研修時間
  • 支払いの負担=研修費(税込)−経費助成−賃金助成
  • 実質の負担=支払いの負担−仕入税額控除で戻る消費税(課税事業者の場合)

前提:中小企業、ライブ形式、所定労働時間内に実施、受講者全員が研修時間の8割以上に出席。

1人あたりの計算例

研修研修費(税込)経費助成賃金助成支払いの負担実質の負担(消費税控除後)
職種別AI研修(11時間・税抜36万円)396,000円297,000円11,000円88,000円52,000円
生成AI&DX即戦力講座(14時間・税抜40万円)440,000円300,000円(上限)14,000円126,000円86,000円
職種別AI研修を大企業で受講(11時間)396,000円200,000円(上限)5,500円190,500円154,500円

※14時間の講座は、440,000円×75%=330,000円が上限の30万円を超えるため、経費助成は30万円になります。

10名で受講した場合(中小企業・職種別AI研修11時間)

項目金額
研修費(税込)3,960,000円
助成の合計(経費2,970,000円+賃金110,000円)3,080,000円
支払いの負担880,000円
実質の負担(消費税控除後)520,000円

計算するときの注意

  • 研修費はいったん会社が全額を支払います。助成金は支給申請の後、審査を経て支払われ、審査には数か月かかるのが一般的です。資金繰りの計画に入れておいてください。
  • eラーニングの場合は賃金助成がありません。1年度1回の枠も使います。
  • 出席が研修時間の8割に届かない人は対象外です。所定労働時間外や休日に行った研修には賃金助成が出ません。
  • 消費税の扱いは、課税事業者かどうか、簡易課税制度を使っているかなどで変わります。詳しくは税理士にご確認ください。

申請の流れ

  1. 研修の目的・受講者・時期を決める:受講者ごとに、研修内容とつながる担当職務を書き出しておきます
  2. 社内の準備をする:職業能力開発推進者を選び、事業内職業能力開発計画を作って社員に知らせます
  3. 計画届を出す:訓練開始日の6か月前から1か月前までに、管轄の労働局へ提出します。内容を変える場合は、訓練開始の前日までに変更届を出します
  4. 研修を実施する:出席と時間の記録を残します
  5. 研修費を全額支払う:支給申請の前に支払いを終えます
  6. 支給申請をする:研修終了日の翌日から2か月以内に申請します

申請書類の作成や提出を報酬を受けて代行できるのは、社会保険労務士だけです。研修会社に頼めるのは、審査に耐えるカリキュラム表や、受講者と職務の対応を示す資料づくりまでです。カトルセでは、こうした資料づくりを支援し、手続きは提携の社会保険労務士をご紹介しています。

不支給・不正受給になりやすいパターン

パターンなぜだめか
計画届が訓練開始の1か月前を過ぎた原則として対象外
全社員向けのAI基礎研修で申請した8月改正後は汎用的な研修として対象外
対象外の時間を除くと10時間を下回った研修全体が不支給になり得る
受講者の出席が8割を切ったその受講者は対象外
役員や代表者も受講者に入れた雇用保険の被保険者でない人は対象外
「助成金で実質無料」「後からキャッシュバック」の提案に乗った会社が研修費を全額負担していないため支給要件を満たさず、不正受給になるおそれ

不正受給と判断されると、助成金の返還に加えて、ペナルティや一定期間の申請停止、社名の公表といった重い措置がとられることがあります。「実質無料」をうたう提案が出た時点で、候補から外すのが安全です。

研修会社に確認したい7つの質問

1. 研修は職種別ですか?受講者の担当業務を題材にした演習がありますか?
2. 対象外になり得る基礎的な内容を除いても、10時間以上ありますか?
3. 実施形式はライブ(対面・同時双方向のオンライン)ですか?
4. 受講者の職務と研修内容の対応を、書類で示せますか?
5. 見積は、研修費とツール利用料などのほかの費用が分かれていますか?
6. 2026年8月改正後の計画届で、受講実績や支給実績はありますか?
7. 申請手続きは、どの社会保険労務士と連携していますか?

見積の比べ方は、当社の「生成AI研修の相見積もり完全ガイド」でも解説しています。

2027年度以降はどうなる?

2026年8月末に公表された令和9年度(2027年度)の概算要求では、人材開発支援助成金全体の要求額は602億円(2026年度当初予算は539億円)とされています。一方で、コースの組み替えや助成率の見直しも報じられています。

ただし、概算要求はあくまで要求の段階です。実際の内容は、例年12月の政府予算案と、年度が明けてからの省令・支給要領で確定します。2027年4月以降も同じ条件で助成を受けられるとは限らないため、助成金を使う前提で研修を計画しているなら、2026年度中の実施を基本に考えるのが安全です。

まとめ

  • AI研修の助成金は、事業展開等リスキリング支援コースが本命。中小企業は経費の75%と賃金1時間1,000円が助成される
  • 2026年度末で終了予定。年度内に終えるなら、計画届は12月上旬までが目安
  • 8月改正後は、職務に直結する研修であること、対象外を除いても10時間以上あることが条件。税込39.6万円・11時間の研修なら、中小企業の支払いの負担は1人8.8万円

研修内容を受講者の職務と結びつけて組み直すことが、改正後に助成を受けるための前提になります。カトルセの職種別AI研修(職種別・ライブ形式・演習中心の11時間設計)は、8月改正後の基準を踏まえて設計しています。

自社の負担額を試算する

助成を受けた後にいくら残るかは、研修プラン・企業規模・人数で変わります。研修費用シミュレーター(人材開発支援助成金)で、支払いの負担と消費税控除後の実質の負担をその場で試算できます。

出典

※本記事の金額は概算です。助成額・上限・支給要件は、訓練内容や制度の改正により変わることがあります。

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FAQ / よくある質問

よくある質問

生成AI研修はもう助成金の対象にならないのですか?
なります。対象外になったのは、職務に直接つながらない汎用的な研修です。受講者の担当業務で使う成果物を作るような、職務に直結する研修は対象になり得ます。
すでに計画届を出した研修はどうなりますか?
8月改正の新しい基準は、原則として2026年8月3日以降に提出した計画届から適用されます。8月2日までに提出した計画届は、従前の支給要領が適用されます。8月3日以降の提出でも、事業外訓練で教育訓練機関との契約や申込みを8月2日までに済ませていた場合などは経過措置があり、契約日・申込日が分かる書類を計画届に添付します。個別の扱いは管轄の労働局で確認してください。
オンライン研修はすべてeラーニング扱いですか?
いいえ。講師とリアルタイムでやりとりする同時双方向のオンライン研修は、対面の研修と同じ扱いで、1年度1回の制限の対象外です。賃金助成も受けられます。録画を見るだけの研修や、ライブと動画を組み合わせた研修はeラーニングとして扱われます。
中小企業かどうかは、どう判断しますか?
資本金と従業員数で判断し、どちらかを満たせば中小企業です。たとえばサービス業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下、その他の業種は資本金3億円以下または従業員300人以下です。
管理職全員に研修を受けさせたいのですが、対象になりますか?
「管理職全員」のように役職で一律に選ぶと、職務による選定とはみなされにくくなります。管理職が担う業務(部下の業務設計、AI活用の判断など)と研修内容を対応させ、その業務を担当する人を受講者に選んでください。
申請の手続きは研修会社に任せられますか?
申請書類の作成や提出を、報酬を受けて代行できるのは社会保険労務士だけです。研修会社には、カリキュラム表や受講者の選定資料などの準備を依頼できます。
2027年4月以降も同じ助成は受けられますか?
2026年10月時点では確定していません。令和9年度の概算要求ではコースの組み替えも報じられています。助成金を前提にするなら、2026年度中の実施を基本に計画してください。
SUPERVISOR / 監修者

この記事の監修者

K.H

橋本 健太郎

株式会社カトルセ 代表取締役

生成AI研修・AI開発・AI顧問・PM/PMO支援を提供。累計2,000名以上のAI研修を支援し、大手企業の生成AI活用、ローカルLLM/RAG/AIエージェント導入、業務改善プロジェクトに携わる。実務に直結する「使えるAI活用」を一貫して伝えている。

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