営業の世界にはさまざまな方法論やツールが存在しますが、その中でもよく耳にする言葉が「The Model」です。これは、顧客に対して価値を提供しながら、自社としても継続的かつ再現性のある営業活動を実現するための“型”や“プロセス”を指します。単なるテクニックや精神論ではなく、科学的な根拠やデータに基づき、組織的に営業を最適化しようという発想が背景にあります。
本記事では最近弊社の生成AI研修・ChatGPT研修・Dify・DX研修を販売している優秀な営業チームが活用している「The Model 」を構築・運用するうえでの重要なポイントを整理し、実際に組織で活かすためのヒントをお伝えします。
1. なぜ「The Model」が必要なのか?
1-1. 成果が属人的にならない仕組みを作る
従来型の営業活動は「エース営業マン」が属人的に大きな数字を達成する一方で、なかなか他の人が同じように成果を出せない、という課題を抱えがちでした。成果が“トップ営業マンの個人技”に依存している場合、担当者が異動・退職すると大きく売上が落ちるリスクがあります。
一方で「The Model = 営業プロセス」を明文化し、組織全体で共通の営業プロセスを回すことで、誰が担当しても一定の成果を再現しやすくなります。属人的なやり方から脱却し、売上の安定と拡大を目指すためにも、このモデル化・プロセス化は非常に重要です。
1-2. 顧客体験(CX)の向上
「The Model」は、ただ自社の売上を伸ばすだけでなく、顧客が検討しやすくなる仕組みを作ることにも寄与します。組織全体で顧客情報を共有し、商談ステージや課題・要望に合わせた最適な提案をすることで、顧客にとっての価値が高まり、顧客体験(CX)が向上します。結果として、クロージング率のアップや長期的な関係構築、リピート購買や紹介の拡大につながります。
2. 「The Model 」の主なステップ
「The Model」は企業規模や扱う商材によって細かいアレンジは必要ですが、典型的には以下のようなステップに沿って構築されます。
- リードジェネレーション(潜在顧客の創出)
- Webマーケティング(SEO・広告・SNSなど)
- イベントや展示会、セミナー
- アウトバウンドリストの作成・実施(テレアポ、メール等)
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
- メールマガジンやホワイトペーパーでの情報提供
- セミナーへの追加招待
- 顧客の悩みや課題を深堀りするコンテンツの配信
- リードクオリフィケーション(商談化)
- 要件定義の確認(予算、時期、意思決定者、課題の緊急度など)
- マーケティングと営業で共有のMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)基準の設定
- 買う意欲の高まったリードを営業へ引き継ぎ
- 商談(セールスプロセス)
- 顧客の課題を明確化するヒアリング
- デモや提案書の作成、プレゼンテーション
- 見積、契約条件の調整
- クロージング & カスタマーサクセス
- 契約締結
- オンボーディング(導入支援、初期設定など)
- 運用フォローや追加提案
- 継続利用・アップセル・クロスセルの実施
- 分析・改善
- 各ステージのKPI(反応率、商談化率、受注率、継続率など)の測定
- ボトルネックの特定(どの段階で顧客が離脱しているのか)
- 改善施策の検討・実行・効果測定
3. 「The Model」を成功に導くポイント
3-1. マーケティングとセールスの密な連携
リードジェネレーションから商談につなげるステップで大切なのは、マーケティングと営業がお互いに情報を共有し合うことです。特に以下のような点が重要です:
- 共通KPIの定義
マーケ部門が獲得したリード(MQL)を営業部門(SQL)がどの程度受注につなげるか、数字で追う。 - リードの“質”評価
どのような顧客属性や行動を示すリードが“良質”とみなされるのかを、部門間で明確にする。
3-2. CRMやMAツールの活用
顧客情報の管理や、自動的にメール配信やスコアリングを行うMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用は、「The Model」実践には欠かせません。
- CRM(顧客関係管理)ツール
顧客の企業情報、コンタクト履歴、商談ステータスを一元管理。 - MAツール
見込み顧客へ自動配信するシナリオメールの作成、顧客行動データをもとにしたスコアリング、自社サイト閲覧状況の可視化など、ナーチャリングを効率化する。
3-3. 定量的アプローチと改善サイクル
「The Model = 営業プロセス」は終わりなきPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルです。一度作って終わりではなく、常に数値を計測・分析し、その結果をもとに改善を重ねることで真価を発揮します。
- リード数・商談数・受注率・平均契約額などの指標を継続的に追いかける
- 離脱ポイントの特定と対策
- 例)MAツール導入後に開封率が落ちている
- 例)商談後半のステージで失注が増えている
- 改善施策の小さなテストを繰り返す
- メールの件名やCTAボタンを変えてA/Bテスト
- セールスピッチや提案資料のフォーマットをブラッシュアップ
4. 「The Model = 営業プロセス」導入事例
4-1. BtoB SaaS 企業の事例
あるBtoB向けSaaS企業では、リードの獲得チャネルを従来は展示会中心に頼っていました。そこにSEOやWeb広告を取り入れ、CRM+MAを導入することで、展示会以外のオンラインリードを効率的に育成。結果として、営業担当が商談に割ける時間が増え、商談化率・受注率が大幅に向上しました。
4-2. 製造業の事例
製造業の老舗企業では、営業が長年にわたり属人的に受注を獲得しており、営業メンバーによる差が非常に大きいのが課題でした。顧客管理のデジタル化・MAツール導入により、営業1人ひとりのコンタクト履歴や過去の商談内容を可視化し、チームでの引き継ぎ・情報連携がスムーズになりました。結果的に引き継ぎミス・顧客離脱を減らし、営業の生産性も改善しました。
5. まとめ:継続的なアップデートこそがカギ
「The Model = 営業プロセス」は、ただ導入しただけで劇的に成果が上がる“魔法の杖”ではありません。大切なのは、以下の3点です。
- マーケティングと営業の連携強化
- CRM・MAなどのテクノロジー活用
- PDCAサイクルの徹底
営業にまつわるデータをしっかり可視化し、ボトルネックを分析して改善を続けることで、組織全体の営業力が底上げされます。属人的な“個人のスキル”だけに頼るのではなく、プロセスそのものを継続的にアップデートしていくことが、これからの競争が激化する市場を勝ち抜くうえで不可欠です。
今後、「The Model」を導入・運用する企業はますます増えていくと考えられます。マーケティングや営業の担当者としては、これを機に自社の営業プロセスを見直し、「属人的から組織的へ」そして「受注至上主義から顧客価値重視へ」のシフトを進めてみてはいかがでしょうか。そうした営業組織こそが、長期的な成長を実現していくはずです。
さらに、この営業プロセスの様々なポイントで生成AIを活用することで生産性を劇的に高められます。弊社の研修ではそういったポイントをお伝えできますし、研修だけでなく営業支援・営業代行も提供できます。
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