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図面から積算・見積をAIで作る方法|PDF図面の拾い出し・レイアウト図の自動化と費用の決め方

公開日 / 読了時間 約15分 / 執筆 代表取締役 橋本 / カテゴリ 専門家解説
2026年11月公開。図面から積算・見積をAIで作る方法。PDF図面の拾い出し・レイアウト図の自動化・費用の決め方。拾い出し、数量表、レイアウト図、松竹梅
TL;DR / この記事の要点
  • 図面から見積を作る仕事は、拾い出し → 数量表 → 単価 → 見積の4段に分けると、AIに任せる所がはっきりします。AIの得意は「読む・拾う・数える」の下ごしらえです。
  • 足し算や長さの計算はAIではなく式やプログラムに、単価・掛け率・提出の判断は人に残します。拾った数量には「図面のどこで拾ったか」を必ず付けます。
  • 見積や積算は、精度が80〜90%に届いてから実用になります。100%を目指すのではなく、残りを人が速く確かめられる形にします。
  • 予算申請には、松竹梅の段階に分けた概算が通りやすく、最初の段で止めても意味が残る切り方にします。ここで紹介するのはカトルセが商談で提案している進め方で、導入の実績ではありません。

「PDFの図面から照明器具を拾って、Excelの見積まで作れないか」「レイアウト図を毎回手で描いている」。2026年の夏から秋にかけて、図面と見積をめぐるご相談が続きました。10月の最終週だけでも、業種の違う5社から同じ種類の話を伺っています。

この記事では、図面から積算・見積を作る仕事のどこにAIを使い、どこを人と仕組みに残すのかを工程ごとに分け、レイアウト図の自動化、精度の目安、予算申請に使う概算の決め方までを説明します。過去の図面を探す(類似図面検索)、出図前の誤りを見つける(検図)、設計の知見を残す話は図面検索・検図をAIで効率化にまとめました。ここでは「図面から数量と金額を出す」側に絞ります。

1. 商談で聞いた「図面から見積」の相談

カトルセが最近お会いした企業で伺った声を、業種と規模だけにして並べます。上の5件が2026年10月の最終週、下の4件がそれより前(9月)です。

業種・規模聞いた悩み・やりたいこと
電気工事系(約500名)電気工事の図面が多い。照明の配置・配線の図面を作り、その図面から見積を出す。催しごとに、過去の図面をもとに照明プランを変えることもある。
通信・OA機器の販売代理店取引先の公共工事・建築系の会社が、分厚いPDF図面をExcelに落として積算する作業を手で行っている。ここをAIで解きたい。
化学品の専門商社(約70名)技術の専門人材が採用できないので、営業が図面を読み取れるようにして、技術営業に近づけたい。
展示会の主催会社ブースの施工図が数千コマ分たまっている。何かに活用したい。
画像処理機器メーカー(100〜299名)機器の評価レポートに載せるカメラのレイアウト図を、担当者が毎回手で描いている。部品の組み合わせが非常に多い。予算申請のため、段階別の概算が欲しい。
建設・工事(300〜499名)の設備設計仕様書と図面の整理、図面からの面積の拾い出し、Excelへの転記、拾い忘れのダブルチェックと根拠資料づくり、機器の選定、若手の教育。この流れ全体が重い。
制御盤のメーカー図面から部品表を取り出し、ハーネスの長さを自動で計算しようとしているが、分岐やコネクタを含む足し算、予備の長さの加算で結果が安定しない。
公共インフラの発注部門設計図面から距離、曲がりの箇所数、弁の個数などを拾い、概算を積算して発注書を作る。CADデータはあるが、拾い出しも検図も人の手。
建築系の工事会社経営者が自分でAIを使った積算の仕組みを作ったが、何度直しても精度が安定しない。品番の読み漏れや文字の読み取りの不安定さがあり、社内でも使われていない。

業種はばらばらですが、困りごとは3つにまとまります。

  1. 拾う作業が人に依存している。図面を読み慣れた人しか拾えず、拾い漏れのダブルチェックにも時間がかかります。
  2. 図面とExcelの間に手作業の転記がある。PDFの図面は「見る」ためのもので、数量のデータにはなっていません。
  3. 全部をAIに任せようとして止まる。読み取りから計算・見積までを1つのAIに頼むと、どこで間違えたのか分からず、精度が安定しません。

2. 結論:AIは「読む・拾う・数える」、計算は式、単価と提出は人

カトルセは商談で、図面について「AIは読む・拾う・チェックするのが得意で、図面を描くのは下書きや定型部分の補助まで」とお伝えしています。見積づくりを工程に分けると、担当は次のようになります。

AI・式・人の分担の図。図面から見積を作る工程を役割ごとに分ける。1 図面を読む:AIは凡例・記号・注記・表題欄を読み取る、式はページ分割・範囲分割、人は見積の対象範囲を決める。2 拾う・数える:AIは記号・機器・部材を見つけて数える、式は長さ・面積などの数量を計算、人は拾い漏れ・重複を確認。3 数量表にする:AIは拾った位置を図面上にマーキング、式は予備・増し分のルールを適用して集計、人は計算ルールを決める。4 単価を当てる・見積にする:AIは品名の正規化の提案と見積書の下書き文、式は単価マスタと照合して様式に流し込む、人は単価・掛け率・値引きと提出可否を判断する。AIは拾う材料づくり、計算は式、判断は人
FIG.1 AI・式・人の分担(図中の金額は説明用の例です)
工程AIに任せること式・プログラムに任せること人が持つこと
図面を読む凡例・記号表・注記・表題欄を読み、表にするページや範囲を切り分けるどの図面のどの範囲を対象にするか決める
拾う・数える記号や部材を見つけ、種類ごとに数える。拾った場所に印を付ける拾った結果を一覧にまとめる印を見て、拾い漏れ・余計な拾いを直す
数量表にする―長さ・面積の計算、予備の加算、集計計算の決まり(予備の取り方など)を決める
単価を当てる品名の表記ゆれを単価マスタの品番に寄せる候補を出す単価マスタと突き合わせて金額を出す単価・掛け率・値引きを決める
見積にする見積書や説明文の下書き決まった様式に流し込む内容を確かめて提出する

ポイントは、足し算や長さの計算をAIにさせないことです。制御盤のハーネス長のように分岐・コネクタ・予備の長さを足していく計算は、決まりを決めれば式のほうが確実です。AIは「何が何本あるか」を取り出す役に置きます。

AIに見積を「作らせる」のではなく、見積の材料になる数量を「拾わせる」。計算と金額の判断は、AIの外に置く。

3. AIの図面読み取りが外れる理由

「PDFの図面をAIに渡したら、数が合わなかった」。これは珍しいことではありません。AIの提供元の公式ドキュメントにも、その理由が書かれています。ここではAnthropic(Claudeの提供元)の説明を例に挙げます。

  • PDFはページごとに画像として読まれる:PDFを渡すと、各ページが画像に変換され、ページから取り出せた文字と一緒にAIへ渡されます(Anthropic「PDF support」)。CADから出力したPDFなら文字も取り出せますが、スキャンした図面では文字の情報がなく、画像から読むしかありません。
  • 大きな図面は縮小される:画像は、モデルごとの上限(Claude 4.7以降のモデルは長辺2,576ピクセル、それ以外は1,568ピクセル)を超えると縮小して処理され、文字が読みにくくなる場合があると説明されています。A1やA3の図面を1枚まるごと渡すと、小さな記号や寸法の数字がつぶれます。
  • 数え上げは「おおよそ」:同じドキュメントの「制限」の項には、画像の中の物の数はおおよそで、小さな物がたくさんあると正確でない場合があること、位置の出力もおおよそであることが書かれています。そのうえで、高い精度が必要な用途では人の確認なしに使わないよう求めています(Anthropic「Vision」)。

照明器具や建具の記号は、まさに「図面の中にたくさんある小さな物」です。1枚の図面をそのまま渡して「数えて」と頼むと外れやすいのは、このためです。

もう1つ、図面の状態で難しさが大きく変わります。

図面の状態拾い出しの難しさ向いている取り出し方
CADデータがある易しいCADデータの線・記号・レイヤー(層)の情報から直接取り出す。記号の意味づけにはレイヤーの情報が効く
CADから出力したPDF中くらいPDFの文字情報と、範囲を切り出した画像を組み合わせて読む
スキャンした図面・手書きの訂正あり難しい画像から読む。読み取りに自信のない箇所に印を付け、人の確認を前提にする

CADデータが残っているなら、画像から読むよりCADから取り出すほうが確実です。

4. 作り方:拾い出し → 数量表 → 単価 → 見積の4段に分ける

カトルセが商談で提案しているのは、AIが読み取る部分と、その後の自動処理を分けて作る組み方です。機能ごとに作って確かめ、最後につなげます。一度に作ると、間違えたときにどの段の問題か分からなくなるからです。

拾い出しから見積までの4段の業務フローの図。1 図面を分ける(平面図・系統図・凡例・器具表)、2 拾う・数える(AIが凡例と一致する記号を検出し図面上にマーキング)、人の確認、3 数量表にする(長さ・面積・予備の計算はAIではなく数式で行う)、人の確認、4 単価を当てて見積にする(単価マスタの単価を紐付けて見積書を作成)。一度に全部作らず、機能ごとに分けて確かめる
FIG.2 拾い出し → 数量表 → 単価 → 見積の4段(図中の数量・金額は説明用の例です)
  1. 図面を分ける:平面図・系統図・凡例・器具表など、ページの種類を見分けます。1枚の図面も、範囲を区切って拡大した画像に分けて読ませます。縮小で小さな記号がつぶれるのを防ぐためです。
  2. 拾う・数える:凡例から「どの記号が何か」の一覧を先に作り、その一覧に沿って記号を拾います。拾った記号には図面上に印(マークアップ)を付け、どこで何番として拾ったかを人が見て確かめられるようにします。
  3. 数量表にする:拾った結果をExcelの数量表にまとめます。長さ・面積の計算や予備の加算は、AIではなく式で行います。積算の決まり(どこまで含めるか、端数や予備の扱い)は、ベテランに聞いて言葉にしておきます。
  4. 単価を当てて見積にする:数量表の品名を単価マスタの品番に突き合わせて金額を出し、自社の見積書の様式に流し込みます。表記ゆれの寄せ先はAIに候補を出させ、確定は人が行います。

照明の例で言えば、①器具表と凡例を読ませて「記号A=ダウンライト○○型」の一覧を作る、②フロアごとに範囲を分けて記号Aを数え、拾った場所に印を付ける、③器具ごと・フロアごとの数量表にする、④単価マスタで金額を出して見積書にする、という流れです。単価マスタそのものをカタログから作り直す作業は、建材カタログの価格更新を生成AIで自動化した事例が参考になります。

段の間には人の確認を挟みます。特に②の拾い出しの後は、印の付いた図面を見て「拾い漏れ」と「余計な拾い」を直す工程を必ず残します。AIの結果を人が承認してから次へ進める考え方は、Human-in-the-loopとはにまとめています。

5. レイアウト図の自動化:描かせるより「部品を置いて、直せる形で出す」

見積と並んで多いのが、レイアウト図を毎回手で描いているという相談です。画像処理機器メーカーでは、カメラのレイアウト図を担当者がプレゼン資料で描き、形式も人ごとに違っていました。ヒアリングで分かったことを一般化すると、次の5点です。

レイアウト図の自動化の図。描かせるより部品を置いて直せる形で出す。1 部品データ(カメラ・機器・照明・盤・ボックス・金具の寸法データと部品ラベル)、2 入力・選択(固定寸法はデータベースから自動取得、現場で測る距離・間隔は人が入力、AIは見た目が近い部品の候補を提案)、3 編集できる出力(CAD出力のDWG/DXF、資料出力のPPT/PDF)。部品の組み合わせが多い、写真だけでは特定できない部品がある、毎回測る値は人が入力、完成画像ではなく後で直せる形式、例外構成をどこまで含めるかで費用が変わる。ゼロから描かせるより過去図面や部品データを土台にする
FIG.3 レイアウト図の自動化:部品を置いて、直せる形で出す
  • 部品の組み合わせが膨大:部品の種類が多く、組み合わせは数えきれません。AIに一から絵を描かせるのではなく、部品の図形と寸法をデータにし、それを組み合わせて置く方式にします。
  • 決まった値と、毎回測る値を分ける:型式ごとに決まっている寸法はデータベースから引き、現場で毎回実測する距離は人が入力します。ルールにできない値を無理にAIに推測させません。
  • 写真だけでは見分けられない部品がある:外観がほとんど同じで型式が違う部品は、写真から特定できません。AIは形から候補を出し、人が選び直す形にします。
  • 出力はあとで直せる形式で:完成品の画像ではなく、CADやプレゼン資料で編集できる形で出します。100%の自動化は求められておらず、「楽になる部分から」で十分というのが現場の声でした。
  • 例外の構成をどこまで含めるかで範囲が決まる:以前は単純な構成がほとんどでしたが、最近は上から見た図や機器が複数台・斜めの配置など、例外の構成が増えていました。単純な構成だけを自動にしても投資の意味がない、と言われています。どこまでの構成を対象にするかが、そのまま費用の差になります。

照明プランのように「過去の図面をもとに一部を変える」仕事も同じです。ゼロから描かせるより、過去の図面や部品のデータを土台に、変える所だけを決めるほうが現実的です。数値を入れると図が変わる仕組み(CADの機能や表計算との連携)で済むなら、AIを使わないほうが確実な場合もあります。

6. 精度の目安と測り方:80〜90%に届いてから実用

精度について、カトルセは商談で次のようにお伝えしています。見積や積算のような業務は、精度が80〜90%に届いてから実用になり、50%程度では実用に至りません。残りの1〜2割を人が確かめる前提で、確かめる時間がどれだけ減るかを見ます(Copilot Studioで市民開発を始めるでも同じ見解を書いています)。

この水準には、汎用のチャットAIに図面を1回読ませるだけでは届かないことが多く、4章のように段を分けて確かめる作り込みが要ります。冒頭の建築系の工事会社のように、1つの仕組みで全部を賄おうと直し続けても安定しないのはこのためです。カトルセがその会社に提案したのも、読み取りと後の処理を分け、発注書づくりのように効果がはっきりした機能から1つずつ完成させる進め方でした。

精度は、1つの数字ではなく、次のように分けて測ります。

測るもの見方
記号・部材の種類ごとの正解率器具Aは合うが器具Bは外れる、のように種類で差が出ます。合う種類から使い始めます。
拾い漏れと余計な拾い見積では、拾い漏れ(金額が足りなくなる)のほうが怖い場合が多く、どちらを減らすかを先に決めます。
人の確認にかかる時間1図面あたり、印を見て直す時間が、手で拾う時間よりどれだけ短いか。最終的な判断はこの数字です。

積算の難しい箇所は、ベテランに聞いて概算の決まりにし、一定期間運用して「人が直さずに済んだ割合が8割を超えたら確定する」といった基準を、作る前に決めておきます。判断基準を先に決める考え方は、図面検索・検図をAIで効率化のPoCの章と共通です。

7. 費用の決め方:予算申請には松竹梅の概算を

図面のAI化は「来年度の予算に乗せたいので、まず概算が欲しい」というご相談が多い分野です。金額は条件で大きく変わるので、ここでは何で金額が変わるかと予算申請に通りやすい出し方をまとめます。

金額が変わる4つの要因

カトルセの生成AI開発では、金額が何で変わるかを先にお伝えしています。図面の積算に当てはめると次のとおりです。

  • 扱うデータの量と状態:CADデータがあるか、PDFかスキャンか。図面の種類(平面図・系統図など)がいくつあるか。
  • 既存システムとの連携の有無:Excelの数量表で止めるか、単価マスタや基幹システム、発注書までつなぐか。
  • 利用人数と上げないといけない精度:例外の構成まで対象にするか。使う人数が増えるほど、AIを呼ぶ回数による月々の費用も増えます。
  • 運用をどこまで任せるか:記号や部品が増えたときの追加を、社内で回すか、都度依頼するか。

松竹梅の切り方

段階範囲の例この段で得られるもの
梅図面1種類・出力1つに絞る(例:レイアウト図の作図だけ、照明器具の拾い出しだけ)。小さな検証(PoC)から本開発へいちばん手間のかかる1工程が軽くなる。精度と確認時間の実測値
竹拾い出しから数量表・見積まで通す。または例外の構成まで対象を広げる見積を出すまでの時間全体が短くなる
松梅・竹の結果を見て段階的に積み上げる(他の工種や図面の種類を足す、単価マスタ・基幹システム・発注書とつなぐ、3D化を試す)部門の外まで含めた流れの自動化

画像処理機器メーカーでは、この松竹梅の概算を予算申請に使う前提で、「まず梅から」という話になりました。そこで伺ったことを含め、予算申請で気をつける点は次の4つです。

  1. 満額が付くとは限らない:審議で削られる前提で、段階に分けておきます。最初の段だけで止まっても成果が残る切り方にするのが要です。
  2. 概算は大まかでよいことが多い:申請の段階では詳しい仕様書までは求められず、大まかな金額と前提があれば足りる場面がありました。前提(対象の図面、精度の基準、人の確認の残し方)は1枚にまとめて添えます。
  3. 効果は「時間」だけで数えない:拾い出しの時間の削減に加えて、人手が足りずに断っている案件や、見積の回答が遅れて逃している引き合いがあれば、それも効果に入れます。
  4. 申請と執行の時期のずれ:執行が新年度からなら、それまでに手作業の検証(8章)を進めておくと、PoCの範囲を絞れます。

カトルセの開発は、相談(60分)→ 要件整理(2〜3週)→ 検証・PoC(3〜6週)→ 開発・本番化(2〜4ヶ月)の順に進め、検証の段で成立しないと分かればそこで止められます。止めた場合も、要件定義書と検証結果は手元に残ります。

8. 仕組みを作る前に:いまあるAIで試せること

会社で使えるAI(Copilot・Gemini・ChatGPTなど)があれば、仕組みを作る前に手作業で試せます。どこで限界が来るかを書き留めると、7章の概算の前提がはっきりします。

  • 凡例・器具表を表にする:記号と品名・型番の対応表をAIに書き出させます。これは4章の①そのものです。
  • 範囲を区切って拾わせ、自分の拾いと比べる:図面を拡大して切り出し、記号の数を拾わせます。人が拾った数と比べて、合う記号と外れる記号を記録します。
  • 見積書の抜けを点検させる:数量表と見積書を渡し、項目の漏れや数量の食い違いを指摘させます。
  • 営業が図面を読む助けにする:「この記号は何か」「この注記は何を指示しているか」をAIに説明させます。AIは間違えることがあるので、答えは技術の担当者に確かめる前提です。

お客様から預かった図面を社外のAIサービスに入れてよいかは、社内の規程と取引先との秘密保持契約によります。先に確認してください。規程の作り方は生成AIの社内規定の作り方に、Copilotしか使えない会社での業務の選び方はCopilot無料版でできる業務10選にまとめています。

9. 始め方:図面の種類1つと、過去の積算表をセットで

最初から全部の工種・全部の図面を対象にすると、検証の基準が決まりません。次の順で小さく始めます。

  1. 対象を図面の種類1つに絞る:拾う量が多く、毎回同じ作業になっている図面(照明・建具・配管など)を選びます。
  2. 過去の図面と、人が作った積算表を数十件そろえる:人の積算表が「正解」になります。正解の無い図面では、AIの結果が合っているか判断できません。
  3. 図面の状態ごとに分ける:CAD、CADから出したPDF、スキャンを混ぜずに評価します。
  4. いまの作業時間を測っておく:1図面あたり拾うのに何時間かかり、年に何件あるか。これが無いと、効果も予算の妥当性も説明できません。

お客様の未公開の情報を含む図面は、入力を学習に使わない契約の法人向けクラウドを国内のリージョン(データを置く地域)で使うか、社内で完結させます。社内で動かす構成と費用の目安はローカルLLMのオンプレ構成と費用に、住宅業界での見積・積算の補助は住宅業界の生成AI活用事例にまとめています。

10. カトルセが手伝える範囲

カトルセがお手伝いできるのは、次の3つです。

  • 仕組みづくり:図面まわりでは、建築図面から建具の記号を見つけて数量を集計し積算表まで作る仕組み、平面図から部屋と面積を読み取る仕組み、PDFの見積書をExcelに変換する仕組みを開発しています(建具数量の拾い出し、面積の算出、PDF見積のExcel化)。生成AI開発として、要件整理と検証だけを切り出してご依頼いただくこともできます。
  • 研修:設計職向けの生成AI×設計実務研修では図面と部品表(BOM)の照合を、現場管理向けの生成AI×現場管理実務研修では図面・仕様書・規格文書の読解補助を扱います(見積の仕組みを作る研修ではありません)。職種別AI研修シリーズ(全10講座・各11時間)。受講料は全講座共通で1名あたり36万円(税抜)。ライブ形式(対面/オンライン同時双方向)のため人材開発支援助成金の活用をご検討いただけます。支給の可否は都道府県労働局の審査で決まります。申請手続きは社会保険労務士の独占業務のため、必要な場合は提携社労士をご紹介します。
  • 進め方の伴走:対象の絞り方、正解データのそろえ方、予算申請の段階の切り方をAI顧問として一緒に進めます。

よくある質問

PDFの図面をそのままChatGPTやCopilotに入れれば積算できますか?

凡例を表にする、範囲を区切って拾わせる、といった下ごしらえには使えます。ただ、大きな図面は縮小して読まれ、小さな記号がたくさんある図面の数え上げは外れやすいため、そのまま見積に使える精度にはなりにくいです。業務で使うなら、図面を分けて読ませ、計算は式で行い、拾った場所を人が確かめる形にします。

スキャンした古い図面でも使えますか?

使えますが、いちばん難しい状態です。文字の情報が無く画像から読むしかないため、読み取りに自信のない箇所に印を付け、人が確かめる前提にします。CADデータやCADから出力したPDFが残っている図面から始めるほうが、効果を確かめやすくなります。

精度はどのくらいを目指せばよいですか?

見積や積算は、精度が80〜90%に届いてから実用になり、50%程度では実用に至らないとお伝えしています。100%を目指すより、残りを人が速く確かめられるように、拾った場所の印と、記号の種類ごとの正解率をそろえることが大切です。

市販の積算ソフトとはどう使い分けますか?

市販の積算ソフトで自社の図面と工種が扱えるなら、それで足ります。PDFの図面しか手元に無い、社内独自の記号や様式がある、レイアウト図のように自社専用の作図がある、といった部分に、AIの読み取りや専用の仕組みを足す使い方が向いています。

予算申請用の概算は、何を伝えれば出してもらえますか?

対象にしたい図面の種類と状態(CAD・PDF・スキャン)、1年あたりの件数といまの作業時間、出力したい形(数量表・見積書・レイアウト図)、つなぎたいシステムの有無の4つが分かれば、段階に分けた目安をお出しできます。図面そのものは、秘密保持契約を結んでから拝見します。

まとめ ── 拾うのはAI、計算は式、金額と提出は人

  1. 拾い出し → 数量表 → 単価 → 見積の4段に分けます。AIは読む・拾う・数える、計算は式やプログラム、単価と提出の判断は人です。
  2. 図面は分けて読ませ、拾った場所に印を付けます。大きな図面の縮小と、小さな記号の数え上げの弱さは、提供元も認めているAIの限界です。
  3. レイアウト図は、部品のデータを組み合わせて置き、直せる形で出します。例外の構成をどこまで含めるかが費用を決めます。
  4. 精度は80〜90%に届いてから実用。種類ごとの正解率と、人の確認時間で測ります。
  5. 予算申請は松竹梅で。最初の段で止まっても成果が残る切り方にし、効果は時間だけでなく取りこぼしている案件でも数えます。

自社の図面のどこから始めればよいか、いまのAI活用の段階を知りたい方は、まず生成AI活用レベル診断(無料)をお試しください。具体的なご相談はお問い合わせからどうぞ。

参考

※ 本記事は2026年11月1日時点の情報にもとづいています。AIの画像・PDFの扱いに関する記載は、2026年10月31日にAnthropicの公式ドキュメント(上記の参考)で確認した内容で、Claude についての説明です。ほかのAIサービスの仕様は、それぞれの提供元の公式情報でご確認ください。費用の金額は条件で大きく変わるため記載していません。商談で伺った声は、企業が特定されないよう業種と規模だけにしています。紹介した進め方はカトルセが商談で提案している内容で、導入の実績や効果を示すものではありません。本記事に登場する製品名・サービス名は、それぞれの提供元の商標または登録商標です。

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SUPERVISOR / 監修者

この記事の監修者

K.H

橋本 健太郎

株式会社カトルセ 代表取締役

生成AI研修・AI開発・AI顧問・PM/PMO支援を提供。累計2,000名以上のAI研修を支援し、大手企業の生成AI活用、ローカルLLM/RAG/AIエージェント導入、業務改善プロジェクトに携わる。実務に直結する「使えるAI活用」を一貫して伝えている。